確定拠出年金と退職金に係る退職所得控除の見直しについて
令和7年度税制改正により、確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)の老齢一時金と退職金を受け取る場合の退職所得控除について、見直しが行われました。
従来、確定拠出年金の老齢一時金を先に受け取り、その後に退職金を受け取る場合、受取時期が5年以上離れていれば、原則として勤続期間等の重複調整の対象外となっていました。
今回の改正では、重複調整の対象期間が、前年以前4年以内から前年以前9年以内に延長されました。
これにより、確定拠出年金の老齢一時金を受け取った後、その受け取った翌年から9年目までに退職金を受け取る場合には、勤続期間等の重複部分について退職所得控除額が調整されることがあります。
(例)65歳で退職金を受け取る場合の退職所得について
前提条件
・60歳:iDeCoの老齢一時金900万円を受給(加入期間20年)
・65歳:勤務先から退職金2,400万円を受給(勤続年数35年)
・iDeCoの加入期間20年間は、勤務先の勤続期間とすべて重複しているものとします。
【改正前】
退職所得控除額
800万円+70万円×(35年-20年)=1,850万円
退職所得金額
(2,400万円-1,850万円)×1/2=275万円
【改正後】
重複期間に対応する控除額
40万円×20年=800万円
調整後の退職所得控除額
1,850万円-800万円=1,050万円
退職所得金額
(2,400万円-1,050万円)×1/2=675万円
※iDeCoの受取額(900万円)が、その加入期間に対する退職所得控除額(800万円)以上であるため、重複期間は20年のまま計算します。受取額が控除額を下回る場合は、重複期間が短縮されます。
この例では、改正により退職所得金額が275万円から675万円となり、課税対象となる所得が400万円増加します。
なお、退職金を先に受け取り、その後に確定拠出年金の老齢一時金を受け取る場合の前年以前19年以内(いわゆる20年ルール)の重複調整については、今回の改正による変更はありません。
今回の改正は、令和8年1月1日以後に確定拠出年金の老齢一時金を受け取る場合に適用されます。
確定拠出年金と退職金の受取時期や順序によって税負担が異なる可能性があるため、受取方法を検討する際には注意が必要です。
参考資料
・国税庁「令和7年度の税制改正により、令和8年以後適用されるもの」P7
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2026kaisei.pdf
・国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2732.htm


