-
【令和6年度改正】消費税のプラットフォーム課税について
2024年10月2日
近年、デジタルプラットフォームを介した取引が急速に増加し、消費者の購買行動やビジネスの在り方に大きな変革をもたらしています。Amazonや楽天、FacebookやInstagram、NetflixやSpotify、Google DriveやDropbox・・・もはや我々の生活になくてはならない存在となりつつあるのではないでしょうか。このような背景の中、令和6年度税制改正では、プラットフォーム事業者に対する消費税課税の新たな仕組みが導入されることとなりましたので紹介します。
・概要
事業者が日本国内の消費者等向けに行うアプリ配信等の電気通信利用役務の提供(事業者向け電気通信利用役務の提供を除く。以下、「消費者向け電気通信利用役務の提供」という。)に ついては、当該事業者が国内事業者か国外事業者であるかにかかわらず、当該役務提供を行う事業者が申告・納税を行うこととされている。 消費税法等の一部改正により、令和7(2025)年4月1日以後に、国外事業者が、※デジタルプラットフォームを介して行う消費者向け電気通信利用役務の提供で、かつ、※特定プラットフォーム事業者を介して当該役務の提供の対価を収受するものについては、当該特定プラットフォーム事業者が当該役務の提供を行ったものとみなして申告・納税を行うこととされた。
※ デジタルプラットフォーム:アプリストア、オンラインモール等
※ 特定プラットフォーム事業者:一定の要件を満たすプラットフォーム事業者であるとして、国税庁長官の指定 を受けた事業者(国税庁HPで公表)
・課税の対象
国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行う消費者向け電気通信利用役務の提供で、かつ、特定プラットフォーム事業者を介してその役務提供の対価を収受するもの。
従って国内事業者については、デジタルプラットフォームを介して消費者向け電気通信利用役務の提供を行っていても、プラットフォーム課税は適用されない。また、事業者向け電気通信利用役務の提供は、これまでどおり、当該役務の提供を受けた事業者が申告・納税を 行うこととなる。(リバースチャージ方式)
・仕入税額控除
プラットフォーム課税において、その役務の提供を受けた国内事業者が仕入税額控除を適用する際には、特定プラットフォーム事業者が消費者向け電気通信利用役務の提供を行ったものとみなされる。このため、国外事業者ではなく特定プラットフォーム事業者からインボイスを受領する。
-
〈令和6年度税制改正 免税購入品に係る仕入税額控除〉
2024年10月2日
輸出物品販売所(いわゆる免税店)とは、外国人旅行者などの非居住者に対して、消費税を免除して物品を販売するお店のことです。この制度は、外国人旅行者が日本で購入した商品を持ち帰る際に、日本国内での消費税を免除するために設けられています。しかし近年、多額・多量の免税購入品が国外に持ち出されず、国内での横流しが疑われる事例が多発しています。また出国時に免税購入品を所持していない外国人旅行者を補足し即時徴収を行っても、多くが滞納となっている現状を改善するため、令和6年度税制改正で新たな制度が設けられました。
1.概要
令和6年度税制改正では、令和6年4月1日以後に輸出物品販売所(以下「免税店」という。)にて消費税が免除された物品(以下「免税購入品」という。)だと知りながら免税購入品を仕入れた場合、その仕入に係る消費税額については、仕入税額控除の適用を受けることができないこととされました。
2.仕入時に免税購入品と疑われる主な例
・ 本人確認書類等から、非居住者からの買取りであると認められる場合
・ 提示された本人確認書類の偽造が疑われる場合
・ 物品に免税用のパッケージがされていたり、その痕跡があった場合
・ 同種同等の物品を大量又は定期的な買取りを求められた場合
・ 買取時、本人確認書類等を提示した本人以外の付添人が主導的に対応するなど、持込者が購入等した物品ではないことが疑われる場合
・ 高級物品の買取りを求められた際、持込者がその所有者であることに疑いがある場合
・ 仕入れ先とSNS等でやり取り等している場合に、相手先が同一のアカウント名等で免税品購入に関するアルバイトを募集しているなど、輸出物品販売場制度を不正利用していることが疑われる場合
3.免税購入品と疑われる際の対応
本人確認等を確実に実施した上で、調達先などの取引内容を仕入先に確認してその記録を残すことや、現金は使用せず口座振込みで支払ったり、場合によっては仕入れそのものを避けるといった対応が考えられるそうです。
詳細等につきましては、下記URL等をご参照ください。
-
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
2024年9月3日
居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例とは、相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋またはその敷地等を令和9年12月31日までの間に売却し、一定の要件を満たす場合、その譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。
1.令和6年1月1日以後に行う譲渡について(令和5年度改正)
(1)特別控除額
被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円に引き下げられます。
(2)耐震改修工事や取壊し
譲渡後、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの期間内に、被相続人居住用家屋が一定の耐震基準を満たすこととなった場合や被相続人居住用家屋の全部の取壊し等を行った場合も特例の対象となりました。
詳細等につきましては、下記URL等をご参照ください。
国税庁HP
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
国土交通省HP
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html
-
〈国税の森林環境税、県税の水源環境保全税、横浜市独自の超過課税の横浜みどり税〉
2024年9月3日
令和6年度から個人住民税を納める国民1人につき、年間1,000円が森林環境税として課税されます。一方で神奈川県の県税として水源環境保全税、横浜市民はさらに横浜みどり税が徴収されています。これらの概要や負担額について確認してみましょう。
森林環境税
概要
パリ協定の枠組みの下におけるわが国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、森林環境税及び森林環境譲与税が創設されました。
(2)負担額
市区町村において、個人住民税均等割と併せて一人年額千円が課税されます。
その税収は、全額が森林環境譲与税として都道府県・市区町村へ譲与されます。水源環境保全税
概要
県民の皆さんの暮らしを支える良質な水を、将来にわたって安定的に確保するためには、豊かな水を育む森林や清らかな水源を保全・再生するための総合的な取組を、長期にわたり継続的に進めていく必要があります。
神奈川県では、平成19年度以降の20年間の取組全体を示す「かながわ水源環境保全・再生施策大綱」と、この施策大綱に基づき、5年間に取り組む「実行5か年計画」を策定し、水源環境の保全・再生に取り組んできます。
この取組は、一般財源による取組のほか、実行5か年計画に位置づけられた特別な取組を推進するための財源として、「水源環境保全税(個人県民税の超過課税)」という特別なご負担をいただいて実施しています。
(2)負担額
個人県民税の均等割、所得割に一定の税率を上乗せして納めていただきます。
水源環境保全・再生のための平均負担額は、納税者一人当たり年額約880円
横浜みどり税
概要
横浜市では、これまでの取組の成果や課題、市民意識調査の結果などを踏まえ、「横浜みどりアップ計画[2024-2028]」を策定し、緑豊かなまちの形成に継続的に取り組み、その財源として令和6年度以降も引き続き「横浜みどり税」のご負担をお願いすることとしました。
横浜みどりアップ計画のうち、樹林地・農地の確実な担保、身近な緑化の推進、維持管理の充実によるみどりの質の向上、ボランティアなど市民参画の促進などの促進につながる事業に充てます。
負担額
(個人)
市民税の均等割に年間900円を上乗せ。
所得が一定金額以下で市民税均等割が課税されない方を除きます。
(法人)
市民税の年間均等割額の9%相当額を上乗せ(令和11年3月31日までの間に開始する事業年度分)。ただし、平成21年4月1日から平成26年3月31日までに開始する事業年度分について、法人税割が課税されない場合には、「横浜みどり税」の対象となりません。
総務省|地方税制度|森林環境税及び森林環境譲与税について (soumu.go.jp)
かながわの水源環境の保全・再生をめざして – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)
水源環境を保全・再生するための個人県民税の超過課税について – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)
-
定額減税 月次減税事務に誤りがあった場合の対応
2024年8月2日
定額減税の月次減税事務が6月からスタートしました。従業員の給与等から徴収した源泉所得税を税務署に納付した後に、扶養親族等の人数、月次減税事務の対象となる給与等や対象者の誤りに気づいた場合には、他の源泉徴収に関する事務と同様に、税務署に源泉所得税の追加納付や還付請求等の対応をとることができます。
基準日在職者でない者への減税実施などで過少納付の場合
定額減税の月次減税事務の対象となる基準日在職者(令和6年6月1日時点に在職する甲欄適用者)に対しては、減税額を控除した後の源泉徴収税額を原則、翌月10日に税務署に納付が必要です。令和6年分の合計所得金額が1,805万円を超える者は定額減税の対象外となりますが、たとえ1,805万円超となることが見込まれる場合であっても基準日在職者に該当する場合は月次減税事務の対象となります。
月次減税事務に誤りがあった場合、12月の年末調整で年間の所得税額との精算も可能ですが、そのままでは法令上誤った源泉徴収税額を税務署に納付していることになります。このため、過少納付の場合は不足額を追加で納付する必要があります。
例えば、基準日在職者に該当しない者に月次減税事務を実施した場合、扶養親族等に該当しない者を減税額の計算に含めている場合などでは、本来より過大に減税した状態となり、本来納付すべき源泉所得税額より少ない金額を税務署に納付していることになるため、その不足額を追加で納付することになります。
※基準日在職者に該当しない者
・令和6年6月1日以後支払う給与等の源泉徴収において源泉徴収税額表の乙欄や丙欄が適用される者(扶養控除等申告書を提出していない者)
・令和6年6月2日以後に給与の支払者のもとで勤務することとなった者
・令和6年5月31日以前に給与の支払者のもとを退職した者
・令和6年5月31日以前に出国して非居住者となった者扶養親族等の人数の過少計算などで過大納付の場合
一方、基準日在職者に該当する者に月次減税事務を実施していない場合や、扶養親族等に該当する者を減税額の計算に含めていない場合などでは、本来より過少に減税した状態となるため、本来納付すべき源泉所得税額より過大な金額を税務署に納付していることになります。
この場合、「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額の還付請求」や「源泉所得税及び復興特別所得税の誤納額の充当届出」の手続をとることにより、その過大分の源泉徴収税額の還付等を受けることができる
参照
-
〈役員が退職後も経営に従事していたかどうかが争われた裁判事例〉
2024年8月2日
役員退職金が損金に算入するかどうかについては、形式的な登記事項の事実だけではなく、実質的に退職していたかどうかということも重要な論点となります。実際に退職していた事実があったかどうかが争われた裁判事例がありますので、今回ご紹介します。
請求人が請求人の元代表者に退職金として支払った金員は、当該元代表者に退職の事実があるから、損金の額に算入されるとした事例
《ポイント》
本事例は、請求人の代表取締役及び取締役を辞任した元代表者が、辞任後も継続して請求人の事業運営上の重要事項に参画していたとは認められず、請求人を実質的に退職していなかったとは認められないとしたものである。《要旨》
原処分庁は、請求人の元代表取締役(本件元代表者)が、退職後においても、引き続き請求人の経営に従事しており、みなし役員に該当するから、実質的に退職したとは認められないとして、請求人が本件元代表者に支払った退職金の金額(本件各金員)は、法人税法第34条《役員給与の損金不算入》第1項括弧書き所定の退職給与に該当しない旨主張する。
しかしながら、原処分庁がその認定の根拠として摘示する各事実には、いずれもその裏付けとなる退職当時の客観的な証拠がなく、各関係者の各申述においても、本件元代表者の請求人への具体的な関与状況が明らかではない。そして、本件元代表者は、退職後に請求人から報酬等を受領していないと認められ、本件元代表者の退職後に請求人の代表取締役となった者が、その代表取締役としての職務を全く行っていなかったと認めるに足りる証拠もないことからすると、本件元代表者が退職後も継続して、本件各法人の経営に従事していたと認めることはできないから、本件各金員は、退職給与として、本件各法人の損金の額に算入される。《参照条文等》
法人税法第34条第1項《参考判決・裁決》
東京地裁平成29年1月12日判決(税資267号順号12952) -
〈令和6年度分の路線価図等の公開について〉
2024年7月2日
相続税・贈与税の土地などの評価に用いる令和6年分の路線価図等が、7月1日(月)11時に公開されました。
路線価とは、市街地的形態を形成する地域の路線(不特定多数が通行する道路)に面する標準的な宅地1㎡当たりの土地評価額のことで、例年7月に1月1日時点の価額が公表されています。
国税庁のホームーページで全国の過去7年分の路線価図等を見ることができます。