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マンションの相続税をめぐる最高裁判決 路線価評価が著しく不適当と再評価した国税側が勝訴
2022年5月9日
被相続人が生前、節税目的で銀行から融資を受けて購入していたマンション2棟について、一般的な路線価により評価し、購入時の借入金と相殺して相続人が相続税額0円と申告していました。しかしこの申告は路線価評価と時価評価が乖離している、税負担の公平に反するとして税務署が独自に再評価できる例外規定を適用し、加算税等を含め約3.3億円の追徴課税を決定しました。この課税処分の取り消しを求めた相続人と法廷で争うこととなり、令和4年4月19日相続人側の上告を最高裁判所が棄却し、国税側の勝訴が確定しました。
相続税や贈与税において土地等の価格は、時価により評価することとされています。しかし、自身で時価を把握することは必ずしも容易ではないため、相続税等の申告の便宜及び課税の公平を図る観点から、国税局(所)では毎年、全国の民有地について、土地等の評価額の基準となる路線価及び評価倍率を定めて公開しています。
路線価等は、1月1日を評価時点として、1年間の地価変動などを考慮し、地価公示価格等を基にした価格(時価)の80%程度を目途に評価しています。
今回のマンション購入・借入が近い将来発生することが予想される相続において相続税の節税効果を期待して実行したものであること、今回のマンション購入・借入が無かったとすれば、本件相続に係る相続税の課税価格の合計額は6億円を超えるものであったこと等を踏まえ、今回のマンション価額については、評価通達の定める方法により評価すると実質的な租税負担の公平を著しく害し不当な結果を招くと認められるから、他の合理的な方法によって評価することが許されると判断した上で、時価評価した国税側の更正処分は適法であり、これを前提とする追徴課税は適法であると最高裁判所は判決を下しました。
最高裁判所 判例集
裁判例結果一覧 | 裁判所 – Courts in Japan
国税庁 相続税基本通達 第1章 総則
国税庁 令和3年分の路線価等について
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申告・納付期限の延長をされた方の振替日について
2022年5月9日
令和3年分確定申告において、申告所得税、個人事業者の消費税に関する申告・納付期限の延長をされた方で振替納税をご利用の方については、預金口座からの振替日は以下のとおりになります。
申告所得税・・・令和4年5月31日(火)
消費税(個人事業主)・・・令和4年5月26日(木)
国税庁HPより
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0022003-044.pdf
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〈完全子法人株式等の配当は源泉徴収不要に〉
2022年4月4日
100%のグループ関係にある完全子法人から親法人が配当を受ける場合など、その配当の支払時に源泉徴収が行われますが、源泉徴収された所得税等は、親法人の確定申告において税額控除され、還付金の支払等が行われる仕組みとなっています。
一方で、完全子法人からの配当については、親法人の法人税の算定にあたり、全額を益金不算入とすることが認められており、法人税が課されないにもかかわらず、源泉徴収の対象としていることについて、効率性、有効性等を高める検討を行うべ きとの指摘があります。
源泉徴収がなければ発生しなかった還付加算金が888社で約3億6,563万円あるとの会計検査院からの指摘です。そこで、令和4年度税制改正において、「完全子法人株式等」と「一部の関連法人株式等」に係る配当等については、所得税を課さず、源泉徴収を行わないこととされました。
この改正は、令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等より適用されます。
金融庁HPより
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〈NISA制度〉
2022年4月4日
金融所得課税の見直しが検討されている中で、上場株式等の配当等や譲渡益が非課税となるNISA制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。
1.NISAの概要
NISAは、20歳以上(口座開設の年の1月1日現在)の居住者等を対象として、平成26年から令和5年までの間に、非課税口座で取得した上場株式等(投資額は年間120万円が上限)について、その配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が、非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長5年間非課税とされる制度です(年分ごとにつみたてNISAとの選択適用)。
(注1) 「20歳」とあるのは、令和5年1月1日以後に非課税口座を開設する場合については「18歳」となります。
(注2) 非課税とされる配当等は非課税口座を開設する金融機関を経由して交付されるものに限られていますので、上場株式等の発行者から直接交付されるものは課税扱いとなります(つみたてNISAおよびジュニアNISAにおいても同様です。)。
(注3) 非課税口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失はないものとみなされます。したがって、その上場株式等を売却したことにより生じた損失について、特定口座や一般口座で保有する上場株式等の配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益との損益通算や、繰越控除をすることはできません(つみたてNISAおよびジュニアNISAにおいても同様です。)。2.つみたてNISAの概要
つみたてNISAは、20歳以上(口座開設の年の1月1日現在)の居住者等を対象として、平成30年から令和24年までの間に、非課税口座で取得した一定の投資信託(投資額は年間40万円が上限)について、その収益の分配やその投資信託を売却したことにより生じた譲渡益が、累積投資勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長20年間非課税とされる制度です(年分ごとにNISAとの選択適用)。
(注) 「20歳」とあるのは、令和5年1月1日以後に非課税口座を開設する場合については「18歳」となります。3.ジュニアNISAの概要
ジュニアNISAは、20歳未満(口座開設の年の1月1日現在)またはその年に出生した居住者等を対象として、平成28年から令和5年までの間に、未成年者口座で取得した上場株式等(投資額は年間80万円が上限)について、その配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益が、非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長5年間非課税とされる制度です。
なお、NISAやつみたてNISAと異なり、上場株式等の配当等や売却代金の払出しに一定の制限が設けられています。
(注) 「20歳」とあるのは、令和5年1月1日以後に非課税口座を開設する場合については「18歳」となります。国税庁 No.1535 NISA制度
国税庁 NISA及びつみたてNISAの手続に関するQ&A(令和元年7月)
国税庁 ジュニアNISAの手続に関するQ&A(令和元年7月) -
所得税等の確定申告の申告期限について
2022年3月2日
オミクロン株による感染の急速な拡大に伴い、確定申告期間(申告所得税:2月16 日~3月15 日)にかけて、感染者や自宅待機者のほか、通常の業務体制が維持できないこと等により、申告が困難となる納税者が増加することが想定されます。
こうした状況を踏まえ、令和3年分確定申告について、新型コロナウイルス感染症の影響により申告等が困難な方については、令和4年4月15 日までの間、簡易な方法により申告・納付期限の延長を申請することができるようにしました。(注1) 具体的には、期限後に申告が可能となった時点で、申告書の余白等に新型コロナウイルスの影響により延長を申請する旨を記載する方法です(申請書の提出は不要)。
(注2) 申告所得税以外の税目も同様の取り扱いとなります。
詳細は、下記リンク先のFAQをご参照ください。国税庁HPより
0022001-187_04.pdf (nta.go.jp) -
令和4年度 賃上げ促進税制
2022年3月2日
いわゆる賃上げ税制については、2013年度からの5年間は、賃上げだけではなく雇用増でも適用可能な制度であった。また、足下ではコロナ禍における雇用対策を目的に、新卒等の新規雇用者のみを対象とした制度となっていた。これを見直し、1人ひとりの賃上げ促進に寄与する税制へと抜本的に強化する。(適用期限:令和5年度末まで)
① 大企業向け(主に資本金1億円超)
● 継続雇用者(注1)の給与(給与等支給総額)が前年度比3%以上増加した場合に、雇用者全体の賃上げ額(給与増加額)の15%の税額控除(注2)。また、前年度比4%以上増加した場合には、25%の税額控除(注2)。
ただし、資本金10億円以上かつ常時使用従業員数1,000人以上の企業については、従業員や取引債などのマルチステークホルダーへの配慮についての方針(賃上げに関するものも含む)の公表が必要。
● さらに、人的投資の要件を満たした場合には税額控除率が5%上乗せ(注2)となり、最大30%の税額控除。② 中小企業向け
● 雇用者全体の給与(給与等支給総額)が前年度比1.5%以上増加した場合に、その増加額の15%を税額控除(注2)。また、前年度比2.5%以上増加した場合には、30%の税額控除(注2)。
● さらに、人的投資の要件を満たした場合には税額控除率が10%上乗せ(注2)となり、最大40%の税額控除。
(注1)継続雇用者とは、当期及び前期の全期間の各月分の給与等の支給がある雇用者。
(注2)控除上限は法人税額等の20%。また、税額控除の対象となる給与等支給総額は雇用保険の一般被保険者に限られない。経済産業省(令和3年12月) 令和4年度(2022年度)経済産業関係 税制改正について
zeiseikaisei.pdf (meti.go.jp) -
〈令和3年分の確定申告がはじまります〉
2022年2月2日
令和3年分の所得税・消費税・贈与税の申告期間は、令和4年2月1日現在、昨年までのように1ヵ月期限が延長されてはいませんので、ご注意ください。一方で今年も納税猶予制度は設けられており、猶予が認められれば通常年8.7%の延滞税も令和4年中は年0.9%に軽減されます。
また令和3年分確定申告(令和4年1月~)から、特定口座年間取引報告書(上場株式等の譲渡所得等・配当所得等)、上場株式等の譲渡損失額(前年繰越分)及び外国税額控除がスマホの画面の大きさに適したレイアウトで表示され、入力しやすくなります。
さらに所得税の申告において、倒産防止共済掛金を必要経費に算入する場合には、明細書の添付・提出が必要となります。
期限に余裕をもって申告を済ませるようにしましょう。
国税庁 令和3年分 確定申告に関する情報の総合窓口 確定申告特集
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/link.htm
国税庁 令和3年分の確定申告においてご留意いただきたい事項
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei/ryuiten.pdf
国税庁 令和4年1月版 新型コロナウイルスの影響により国税の納付が困難な方へ 猶予制度があります
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/pdf/0021001-141_04.pdf
国税庁 特定の基金に対する負担金等の必要経費算入に関する明細書
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/061.pdf