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帳簿書類等の保存期間について
2017年7月4日
税務関係の帳簿書類の保存について、お客様から次のような質問を受けることが多いです。
【質問1】 何年間保存しなきゃいけないの?
【質問2】 どんな書類まで保存しなきゃいけないの?
【質問3】 もし保存してないとどうなるの?
【質問4】 CDロムやハードディスクへ保存できないの?
保管場所や捨てるものの判断にお困りの方も多いと思いますので、順次回答していきます。
【質問1】 何年間保存しなきゃいけないの?
【回答】 税務の帳簿書類は、申告期限(原則的に決算の2ヶ月後)から7年間です。ただし、赤字の法人につきましては、繰越欠損金の控除期間と同じとなり、9年(平成30年4月1日以降開始事業年度は10年)となります。一方で、会社法の保存期間は決算後10年となっていますので、結果的に10年間保存するのが無難です。
【質問2】 どんな書類まで保存しなきゃいけないの?
【回答】 帳簿書類と一言で言っておりますが、『帳簿』と『書類』で分けて説明しますと、『帳簿』には総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳などがあります。また、『書類』には棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。その業種やその会社オリジナルごとに多岐にわたるため、すべてを列挙するのは困難ですが、所得の計算に使うものや資金や物の動きの証拠となる書類一式です。
【質問3】 もし保存してないとどうなるの?
【回答】 青色申告をしている法人ですと、青色申告の要件を満たしていないため、繰越欠損金の控除が使えなくなってしまします。また、計上した収入や費用の裏付けとなる資料が残ってないのであれば、税務署から推計課税をされて多めの税金を計算されてしまうこともあります。さらに、消費税の課税事業者ですと、仕入税額控除の要件を満たさないので、仕入や経費にかかった消費税の控除を認めてもらえず、多大な消費税を支払う羽目になってしまいます。やはりきちんと保存しておきましょう!
【質問4】 CDロムやハードディスクへ保存できないの?
【回答】 書面による保存に変えて、電子帳簿やスキャン文書として保存する方法がありますが、実施する3ヶ月前に税務署に届出を行い、改ざん防止のためタイムスタンプや適正な事務処理がされているかを社内で相互チェックをしなければならないなど、中小企業では対応できないほどの高いハードルのものとなっております。年々制度が緩やかにはなっているようですが、まだ現物を保管しておく方が無難だと思います。
結論として、「ぜんぶ」「紙で」「とりあえず10年」保管をお願いします。
保管場所の確保は割り切っていただいて、年度単位で帳簿書類を整理し、10年経つごとに1年分ずつ処分をお願いします。
機密書類ですので、シュレッダーの手間も大変という方は、機密文書廃棄業者にダンボールごと処分してもらうサービスもご検討下ください。
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国税のクレジットカード納付にはe-Taxの利用が便利です
2017年7月4日
平成29年1月より国税のクレジットカード納付がスタートしていますが、平成29年6月12日から、e-Tax(国税電子申告・納税システム)から「国税クレジットカードお支払サイト」へのアクセスが可能となりました。
これにより、「国税クレジットカードお支払サイト」での住所・氏名・税金の種類等の入力が不要となり手続きが簡単になります。
また、平成29年6月12日以降にe-Taxで徴収高計算書データを送信することにより、源泉所得税についてもクレジットカード納付手続きが行えます。
国税のクレジットカード納付にはe-Taxの利用が便利です(パンフレット)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sonota/etax_credit.pdf
https://www.yckz.co.jp/wp/archives/4911
(クレジットカード利用による国税の納付制度について 2017年2月1日掲載記事)
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仮想通貨取引にかかる消費税の課税関係
2017年7月4日
ビットコインに代表される仮想通貨は、これまで消費税法上に定められている非課税対象に定義されていなかったため、消費税の課税対象とされてきました。
しかし、平成29年4月1日に施行された改正資金決済法により、仮想通貨も紙幣や小切手、suicaなどの電子マネーと同じ「支払の手段」として法的に位置付けられました。これに伴い、平成29年7月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れから非課税とされ、紙幣や小切手等と同様の取扱いがされることになりました。
非課税取引に該当する場合、仕入控除税額の計算に係る課税売上割合に影響しますが、先般公表された改正消費税法施行令では、事業者が行う仮想通貨の譲渡の対価について、課税売上割合の計算から除外される旨が規定されました。
なお、施行日前の平成29年6月30日以前に譲渡した仮想通貨の対価については課税売上となるため、課税売上割合の分母及び分子いずれにも含まれることになります。
このほかに、経過措置として、平成29年6月30日に税抜100万円以上の仮想通貨を保有する場合、同日の仮想通貨の保有数量が平成29年6月1日から平成29年6月30日までの間の各日の仮想通貨の保有数量の平均保有数量に対して増加したときは、その増加した部分の課税仕入れに係る消費税には仕入税額控除を認めないとしている点にも注意が必要となります。
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中古資産の耐用年数を利用した節税について
2017年6月2日
10万円以上の資産を購入した場合は、原則的に固定資産として計上され、一度に経費することはできずに、減価償却費として法定耐用年数に応じて費用にすることになります。そのため、お金の支出と経費の金額が一致せず、納税資金を圧迫する原因となります。
そこで、なるべく減価償却を多くすることができると節税になりますが、減価償却を多くする一つの方法として中古の資産を購入するという方法があります。
固定資産の耐用年数は、資産の種類ごと(機械装置は設備の種類ごと)に法令で定められていますが、中古資産ですと、その経過年数に応じて耐用年数も短くできます。
詳しい計算はこちらをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5404.htm
- 例① 半年間販売店に展示されていた300万円の新古の乗用車(法定耐用年数6年)を購入した場合
- 耐用年数 (6年-0.5年)+0.5年×0.2=5.6 →5年(切捨て)
- この場合ですと、耐用年数を1年短縮できたため、定率法で計算した場合減価償却は249,000円増加しました。
例② 8年落ちの測定器具(法定耐用年数5年)を35万円で購入した場合
耐用年数 5年-8年<0 →2年(最低2年)
定率法で2年の耐用年数ですと100%償却することができるため、35万円全額が費用にできます。
このように、耐用年数を短くすると費用化できる金額が多くなります。必ずしも新品である必要がない物の購入をする場合にはおすすめです。
ここで注意点を挙げておきます。
- 年度の途中で購入した場合は、月数で分割した金額が費用になるため、決算直前で購入した場合はその期ではあまり効果がありません。
- 一定の骨董品や絵画など価値の上がるものは、そもそも減価償却できませんので適用がありません。
- 中古品を購入しても、改造にお金をかけすぎた場合には改造部分が新品として評価されるため、中古耐用年数の計算が異なります。
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平成29年度税制改正 取引相場のない株式の評価の見直し
2017年6月2日
中小企業の株価が著しく変動しないように取引相場のない株式の評価方法について見直すことになりました。
※この改正で影響を受ける者は同族株主等であり、同族株主等以外の株主には影響がない。また純資産価額について改正はありません。
この改正は、平成 29 年1月1日以後に相続等により取得した財産の評価において適用されます。
国税庁HP
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hyoka/170515/01.htm
○類似業種の株価(上場会社の平均)について、現行に課税時期の属する月以前2年平均が加わりました。
→上場企業の株価の急激な変動が中小業の株価に与える影響が少なくなります。
○配当金額、利益金額及び純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)の比重について1:1:1になります。
→以前は、配当・利益・純資産で1:3:1にて、計算されていましたが、利益比重が少なくなったため、多額の損失計上をしても以前ほど株価が下がらなくなります。
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民法改正
2017年6月2日
契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関する改正民法が、先月26日の参院本会議で可決成立した。
民法制定以来、約120年ぶりに債権部分を見直しすることになった。インターネット取引の普及など時代の変化に対応し、消費者保護も重視した形です。
3年程度の周知期間を経て、施行される見通し。
(主な改正内容)
当事者間で特に利率を定めていない際に適用される「法定利率」の引き下げ。現在は年5%だが、法定利率を年3%に引き下げる。実勢にあわせるためで、3年ごとに見直す変動制も導入する。
飲食代などの未払金など、その職種による時効の期間がバラバラでしたが、職種別の規定はすべて廃止され、原則として5年に統一されます。
中小企業が融資を受ける際に連帯保証人となる人に、公証人による意思確認を義務付ける。
賃貸住宅の敷金返還を明記し、経年劣化による費用負担について借り手は負わず、故意や過失でできた傷などを回復する費用を除いて敷金は原則として返金するものとする。
その他、約款の有効性と内容を変更できるルールを明文化することや商品の欠陥に対し、修理や交換の負担請求もできるようになります。
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ふるさと納税の返礼品の見直しについて
2017年5月10日
ふるさと納税もスタートして数年立ち、申告不要で便利なワンストップ特例の導入や民間業者の返礼品の一覧サイトの発達により、かなりメジャーになりました。当事務所の先日の確定申告でも、体感ですが1割弱の方がふるさと納税をしていたと感じています。
ふるさと納税の最大のメリットは、実質2千円の税負担で地方の特産品を返礼品としてもらえるということでしたが、今回は特に地方団体がふるさと納税の獲得に一生懸命になり、いつしか返礼品が商品券や自転車など派手にエスカレートしてきているという印象を受けました。返礼品の一覧サイトでも露骨に返戻率の表示がされるようになり、当初の趣旨である自分の思い入れのある地方への寄付という考えとはかけ離れたものになっている状態でした。
そこで4月に入り、総務大臣から各都道府県知事に対し、「ふるさと納税に係る返礼品の送付等について」という通知が公布されました。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000037.html
内容としては、制度の趣旨にそぐわない行き過ぎた返礼品の送付を見直すよう各地方団体に求めるもので、
1. 商品券や電子マネーなどの金銭類似性の高いものの禁止。
2. 家電・家具などの転売できるような資産性の高いものの禁止。
3. 価格が高額なものの禁止。
4. 30%を超える返戻率のものは禁止。
5. その地方団体の住民への送付は禁止。
というものです。この通知を素直に受け止めれば、来年以降は、ほとんどの地方団体で、地元の特産品を返礼する程度のものになると思います。これまでも、そういったものが欲しくてついでに寄付もできるし…という方が大半のようでしたので、この通知の結果、ふるさと納税が下火になるとは思えません。都会の税収を金目のモノで地方が奪ったあげく、返礼コストで税収が寄付金の半分しか残っていないというのは、やはり邪道ではないかと思います。地元産業の活性化と特産品のリピートや観光への呼び水として成功している地方団体もあるようですので、こうした地道な努力で制度を活用していただきたいと思います。