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税制改正の大綱が閣議決定(個人所得課税)
2017年1月10日
個人所得課税について、配偶者控除・配偶者特別控除が改正されることとなりました。
配偶者控除は、103万円以下の給与収入のある配偶者がいる場合、納税者本人に38万円の所得控除をすることとし、税負担を軽減するものです。
配偶者特別控除は、配偶者の給与収入が103万円を超え配偶者控除の適用が受けられない場合でも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられるものです。
しかし、この配偶者控除や配偶者特別控除を受けるため、パートタイム労働者等が就労を調整する弊害が指摘されていました。
そのため、就業調整を意識しなくてすむ制度を構築する観点から、配偶者控除・配偶者特別控除の見直しを行うこととされました。
具体的には、所得控除額38万円の対象となる配偶者の給与収入金額の上限を150万円(合計所得金額85万円)に引上げたほか、控除額は逓減し、配偶者の給与収入金額約201万円(合計所得金額123万円)で消失するというものです。
また、納税者本人の給与収入金額1,120万円(合計所得金額900万円)で控除額が「逓減を開始し、1,220万円(合計所得金額1,000万円)で消失するという、納税者本人の所得制限も導入することにしました。
詳しくは、以下を参照ください。
平成29年度税制改正の大綱の概要
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/29taikou_gaiyou.pdf
平成29年度税制改正の大綱
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/20161222taikou.pdf
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税制改正の大綱が閣議決定(法人課税)
2017年1月5日
法人課税について、研究開発税制の見直し、所得拡大促進税制の見直し等が行われることになりました。
研究開発税制においては、研究開発減税の対象にAI(人工知能)を活用したサービスが含まれることになりました。IoT(コンピュータのみならず、様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、相互に通信する)等の分野におけるビジネスを税制で支援することとなりました。
また、所得拡大促進税制においては、大法人について平均給与等支給額要件(現行は前年度超→前年度比2%以上増)の見直しや、平均給与等支給額が前年度比2%以上増加した場合の控除税額の見直し(拡充)が行われることとなりました。
このほか、地域中核企業向け設備投資促進税制の創設など、中堅・中小企業向けの税制支援も行われることとなりました。
詳しくは、以下を参照ください。
平成29年度税制改正の大綱の概要
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/29taikou_gaiyou.pdf
平成29年度税制改正の大綱
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/20161222taikou.pdf
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年末年始行事にかかる交際費の取扱いについて
2016年12月5日
年末年始のあいさつ回りや新年会、忘年会などで忙しい時期になりました。
この時期には毎年交際費の支出が多くなりますが、資本金1億円以下の中小企業では800万円を超える交際費には法人税がかかってくるため、ぱっと思いつくケースが税務でいう『交際費等』に該当するか例を挙げてご説明します。
- お歳暮 交際費等の定義は、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用です。ですので、交際費に該当します。
- 取引先を集めて開催する忘年会、新年会の費用 これも交際費に該当します。自社の社員のみの忘年会、新年会は福利厚生費です。
- 取引先主催の忘年会に出席するためのタクシー 得意先等に対して自社が行う接待のために支出するものではありませんから、交際費等に該当しません。単なる旅費交通費に該当します。
- 挨拶回りの際に渡す自社の社名入りのタオルの製作費 カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用や不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用は、交際費等には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。ただし、高額すぎるものは交際費となります。
- 歳末セールと銘打って、売上高に応じて景品を交付する費用 その景品がおおむね3,000円程度の物品で、その種類・金額が確認できるものであれば交際費に該当せず、販売促進費となります。ただし、高額なものや、あとで何を渡したか確認できないようであれば交際費になります。 このように、内容によっては交際費に該当しないものもあります。経理担当者や会計事務所に領収書だけ渡したのでは判断が付かないこともありますので、稟議書や状況のメモ書きを添えるなどして有利な会計処理ができるよう心がけてください。
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金融所得課税の一体化
2016年12月5日
「金融所得課税の一体化」に向けて、公社債等の税制の概要が平成28年1月から大幅に変わっています。
・国内株式や投資信託と損益通算が可能になりました。
・譲渡損失に関する3年間の繰越控除が可能になりました。
・特定口座への組入れが可能になりました。
これにより、例えば上場株式で10万円の売却損があり、債券で償還損益10万円の利益
が出た場合、今までは債券の10万円の利益に対して課税されていましたが、今後は損益通算により課税されなくなりますし、損失のほうが多かった場合、3年間の繰越ができます。
金融庁の資料より
http://www.fsa.go.jp/policy/shokenzeisei/02.pdf
国税庁のパンフレット
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/kabushiki/pdf/17.pdf
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法定調書作成に当たっての留意点
2016年12月5日
早いもので今年も後僅かとなり、1月になると法定調書の提出が待っています。
マイナンバー制度の導入により、平成27年10月からマイナンバー及び法人番号が通知され、平成28年1月から順次利用が開始されました。申告書や法定調書などを税務署に提出する方は、これらの税務関係書類にマイナンバーや法人番号を記載する必要があります。
法定調書の提出義務者(支払者等)は、平成28年1月1日以降の金銭等の支払等に係る法定調書に、原則として金銭等の支払を受ける方及び支払者等のマイナンバー又は法人番号を記載する必要があります。法定調書の作成にあたり、マイナンバー関係の様々な疑問を解決するため、国税庁よりFAQが公表されています。
法定調書に関するFAQ
https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/FAQ/houteichosho_qa.htm#a11 -
法定調書や給与支払報告書を提出しなかった場合のリスクについて
2016年11月8日
毎年1月31日までの期限の事務作業として、法定調書合計表の提出や給与支払報告書の提出があります。
年末調整ですべての従業員の源泉徴収票を作成したあと、調書を税務署や市町村に提出する作業ですが、今年からマイナンバーも加わったことにより、事務作業がより煩雑になることが懸念されます。
そこで、もし、従業員の一部が会社に自分のマイナンバーを教えたくないというケースが合った場合には、会社側は役所に対しどういった対応をしたらよいのでしょうか?
マイナンバーを教えてくれなかった従業員の調書はマイナンバーの欄が空白なので提出しなくて良いかというと、もちろん、そうではありません。マイナンバーの記載は義務ですが、役所では、マイナンバーの記載がなくても受理してくれます。
従業員には、個人番号の記載は、法律で定められた義務であることを伝え、それでも提供を受けられない場合は、提供を求めた経緯等を記録、保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておいてください。
もし、法定調書や給与支払報告書の提出をしなかった場合または偽りの内容で提出した場合には、一年以下の懲役又は50万円以下の罰金というリスクがあります。(所得税法第242条、地方税法第317条の4)
これまでも、従業員やパートから提出しないでくれと頼まれたというケースや、外国人だから提出したくないというケースで提出していないという話を聞くことがありますが、よくリスクを理解した上で正しい事務処理をお願いします。
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年末調整での最小限のマイナンバーの取扱い方法について
2016年11月8日
今年の年末調整はマイナンバー導入後の初の年末調整となります。
法定書類に記載するマイナンバーは義務である一方、会社や取扱担当者に厳重な管理が求められます。
そのため、不必要なものには書かないことや、最低限のものだけにとどめることが漏洩や紛失のリスクを少なくする方法の一つです。
まず確認しておきたいのが、受給者交付用の源泉徴収票にはマイナンバーは書く必要がありません。必要なのは、法定調書で添付する税務署提出用と市町村に提出する給与支払報告書のみです。
また、扶養控除申告書に従業員やその扶養親族のマイナンバーを書く必要がありますが、会社がそれらを別紙で一元管理している場合は扶養控除申告書への記載を省略できます。
今後の事務手続きの参考にしてください。
国税庁HP
http://www.nta.go.jp/mynumberinfo/pdf/mynumber_gensen_hotei.pdf